【注意喚起】日本の公的機関の職員を装った電話詐欺

令和7年1月22日

 当館管轄区域(コロラド州、ニューメキシコ州、ユタ州及びワイオミング州)にて日本の公的機関の職員を装って電話を掛け、逮捕や口座凍結及びパスポート失効等を示唆して不安をあおり、在留邦人から金銭を騙し取る詐欺が発生しています。
 当館に報告のあった特殊(電話)詐欺事案について、被害者の在留邦人の方から提供を受けた手口等の概要は以下のとおりです。

1 事案概要


(1)被害者の携帯電話に見知らぬ番号からの着信(携帯電話に表示された発信場所は米国国内)があり応答すると、相手は日本語で東京税関の職員を名乗り、被害者が日本宛に送付した荷物から大麻成分が検出されたと説明した。被害者は身に覚えがないと主張したが、相手は被害者の氏名、住所、電話番号を口頭で確認(正しい個人情報と合致)し、パスポートの失効手続きをした上で警察へ電話を取り次ぐと言い、電話が転送された。

(2)転送後、東京空港警察の警官を名乗る者が、被害者の個人情報が漏洩し悪用されている可能性があるため同様の被害がないか調べると言い、他者と会話を始めた(電話口から無線のやりとりのような音声が被害者に聞こえた)。

(3)相手が会話を終え、被害者との通話が再開すると、状況が一転し、日本で詐欺容疑で逮捕された人物が被害者の口座番号と通帳を所持していたことから、被害者は口座売買の容疑者であるとされ、容疑者としての取り調べを行うため、チャットアプリ(LINE)のビデオ通話に切り替えるように言われ、被害者はそれに従った。

(4)ビデオ通話では、映像で相手から警察手帳や押収した通帳などを見せられ、さらに警視庁ホームページのURLとするものを提示され、アクセスするよう指示を受けた。被害者がアクセスすると「容疑者追跡リスト」なる画面が映し出され、そこに被害者の個人情報が表示されていた。

(5)さらに被害者は、同じホームページの「守秘義務」の項目(違反した場合には詐欺容疑とは別の刑に処される等が表示されていた。)を確認させられ、相手よりこの事件は警察内部にも共犯がおり、マスコミにも情報管理をしているため、警察を含め第三者に決して情報を漏らさないことと、容疑者である被害者が逃亡できないようにと1日に3回のメッセージ送信を命じられ、この日は終話した。

(6)翌日以降、ほぼ毎日、事情聴取として30分程度のビデオ通話(LINEからSkypeに変更)が行われ、その中で年収や銀行口座数、暗号通貨所有の有無等の確認がされた。

(7)1週間ほど経過後、捜査が警察から検察に切り替ると説明を受け、新たに検察官を名乗る者が現れ、逮捕した詐欺グループから被害者に関して複数の証言が出ていることから被害者を逮捕するとしたため、被害者は再び身に覚えがないと主張したところ、さらなる捜査には金融庁で口座内の金の流れについて確認が必要だと説明された。

(8)口座の確認には一旦被害者の口座をカラにしなくてはならないため、口座の残高を指定する金融庁のアカウントへ送金するために、仮想通貨取引アプリ(コインチェック、OKJ、トロンリンク)をダウンロードし送金するよう指示を受け、被害者は従った。

(9)その後、被害者からの定時連絡に相手からの応答がなくなり音信不通となった。被害者はニュースで同様の手口の電話詐欺事件を見知ったことにより、詐欺被害に遭っていると気付き、警察へ被害届を提出した。

2 被害に遭わないために


(1)身に覚えのない内容で金銭や個人情報を要求する不審電話を受けた場合には、詐欺である可能性が極めて高いと考えましょう。

(2)不審な電話に対しては相手が何を言おうと一度電話を切ることが重要です。その上で相手が名乗った先(着信画面に表示される番号は偽造されている可能性が高いので、ホームページ等で確認してください。)に直接電話をかけて事実関係を確認したり、親族や友人、警察や総領事館等の周囲の人に相談しましょう。

(3)日本の警察が電話やビデオ通話で事情聴取等を行うことはありません。また、警察を含む公的機関の職員等が電話で金銭を要求することもありません。

(4)犯行グループは個人の氏名や住所等の情報を知っている場合があり、それらの情報によって本物の機関であるかのように装いますが、上記の事例に該当するような場合は詐欺だと確信して対応してください。