海外における麻しん(はしか)・風しんに関する注意喚起

2019/12/10

ポイント

●世界各地で,麻しん・風しんの感染例が多く報告されています。
●海外では麻しん・風しんに感染するリスクがあることを認識し,麻しん・風しんの予防接種を2回受けていない方は,受けることを検討してください。
●国内では,輸入例を発端とした集団感染も発生しています。

注意事項

1.世界保健機関(WHO)による世界の麻しん発生状況の発表
11月27日,WHOは,世界各地で麻しんが流行しており,2019年1月1日から11月5日までの間に,187の加盟国から440,263例の感染例が報告されたことを発表しました。

(1) アフリカ地域
複数の国で麻しんの大規模な流行が報告されています。マダガスカルとナイジェリアで流行中であり,新規症例は減少していますが,現在も症例が毎週報告されています。11月17日時点でコンゴ民主共和国では,合計250,270例の疑い事例と5,110例の関連する死亡事例が報告されており,前週と比べ8,000例以上増加しています。11月13日時点でギニアでは,疑い事例4,690例(うち確定例1,091例)が報告されています。11月17日時点でチャドでは,94パーセントの地区から疑い事例25,596例が報告されています。

(2) 東地中海地域
11月17日時点でレバノンでは,確定例1,060例が報告されています。11月8日現在,イエメンで確定例5,847例,スーダンで確定例3,659例,ソマリアで2,795例,パキスタンで確定例1,978例,チュニジアで1,367例,イラクで1,222例の症例が報告されていることが懸念されています。

(3) 欧州地域
欧州では,2019年に多くの国での大規模な流行がありました。1月1日から11月5日までに,ウクライナでは56,802例,カザフスタンでは10,126例,ジョージアでは3,904例,ロシアでは3,521例,トルコでは2,666例,キルギスでは2,228例が報告されています。このうちジョージア,ロシア,トルコでの流行は解決しています。

(4) アメリカ地域
1月1日から11月9日までにブラジルでは確定例11,887例が報告され,多くの症例はサンパウロから報告されました。同時期にベネズエラでは520例が報告されていますが,過去14週間で新しい症例は報告されていません。コロンビアでは,ベネズエラで感染したと思われる症例が215例報告されています。米国では,ニューヨークで2つの大規模で持続的な流行が宣言されており,他の州でも小規模な流行が発生しています。

(5) 東南アジア地域
1月1日から11月18日までにバングラデシュでは確定例4,181例が報告されており,現在の症例はコックスバザールのロヒンギャ難民キャンプに集中しています。ミャンマーでは5,286例が報告されています。同時期にタイでは4,852例が報告されています。

(6) 西太平洋地域
2019年早期に発生したフィリピンとベトナムでの流行により症例数が増加しましたが,現在では新しい症例は減少しています。11月20日現在の流行にはニュージーランドが含まれており,確定例2,084例が報告され,そのうち80パーセントがオークランドから報告されています。カンボジアでは490例が報告されており,全ての州で症例が確認されています。大洋州諸国では,1月1日から11月23日までに複数の国で流行中であり,トンガで310例,フィジーで10例,米領サモアで2例が報告されています。11月26日時点でサモア保健省は2,437例(うち関連した死亡32例)を確認し,直近24時間のうちに243例が報告されています。

《参考》WHOによる発表「Disease Outbreak News: Measles - Global Situation

2.日本の麻しん・風しん排除への取り組み
(1) 日本は,2015年3月に世界保健機関(WHO)から,土着の麻しんウイルスが存在しない「麻しん排除国」に認定されましたが,その後も海外からの輸入例を発端とした集団発生事例が報告されています。また,厚生労働省は,2020年までの「風しん排除」の達成を目指して,海外に渡航する人,風しんに対する免疫の不十分な人が多い30歳代後半から50歳代までの男性,妊娠を希望している女性などに対して,風しんの予防に関する啓発を行っています。

(2) これらを踏まえ,同省は,麻しんもしくは風しんにかかった(検査で診断された)ことが明らかでない人,予防接種を2回接種していない人または接種歴が不明な人は,予防接
種を受けることを検討するよう呼びかけています。

《参考》厚生労働省検疫所ホームページ:予防接種実施機関の探し方

3.麻しんについて
(1) 麻しんは,感染力が非常に強く,空気感染や飛沫感染によって簡単に人から人に感染する急性のウイルス性発しん性感染症です。潜伏期間は10~12日で,免疫が不十分な人が感染すると高い確率で発症します。主な症状は発熱,咳,鼻汁,結膜充血,発しんなどですが,まれに肺炎や脳炎になることがあり,先進国であっても,患者1,000人に1人が死亡するといわれています。

(2) 2018年には,全世界で32万6千人の患者が報告されました。

《参考》厚生労働省ホームページ:麻しんについて

4.風しんについて
(1) 風しんは,感染力が強く,飛沫感染によって人から人に感染する急性のウイルス性発しん性感染症です。潜伏期間は14から21日で,主な症状は発熱,発しん,リンパ節腫脹などですが,まれに脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど,入院加療が必要になることもあります。また,感染しても症状がでない不顕性感染が 15~30%程度存在します。妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると,出生児が先天性風しん症候群(CRS)を発症し,難聴・白内障・先天性心疾患などの病気をもって生まれてくる可能性があります。近年,大規模流行の頻度は少なくなったものの,海外で感染して帰国後発症する「輸入例」の割合が増えています。

(2) 2018年には,アフリカ及びアジアを中心に,全世界で約1万3千人の患者が報告されました。

《参考》厚生労働省ホームページ:風しんについて

5.麻しん・風しんの予防について
麻しん・風しんの発生がない,あるいは非常に少ない国・地域では,滞在中に麻しんもしくは風しんを発症すると,感染の拡大防止のため,発症した本人はもとより,同行者も移動を厳しく制限されることがあります。そのようなことを避けるためには,麻しん・風しん混合ワクチンによる定期の予防接種を2回受け,麻しん・風しんに対する免疫をつけておくことが重要です。このため,麻しんもしくは風しんにかかった(検査で診断された)ことが明らかでない方が海外渡航される時には,あらかじめ母子手帳などで麻しん・風しんの予防接種歴を確認し,予防接種を2回接種していない方,または接種歴が不明な方は麻しん風しん混合ワクチンによる予防接種を検討してください。
なお,定期の予防接種は,生後12ヵ月から生後24ヵ月に至るまでの間にある小児(1期接種)及び小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある5歳以上7歳未満の小児(2期接種)に対して実施しています。麻しん・風しんの予防接種に用いるワクチンは,麻しん・風しん2つの疾患への対策という観点から,原則として,麻しん風しん混合ワクチンの使用が推奨されています。

《参考》国立感染症研究所ホームページ:麻疹の発生に関するリスクアセスメント第一版風疹および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第三版

6.在留届及び「たびレジ」への登録のお願い
海外渡航前には,万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。3か月以上滞在する方は,緊急事態に備え,必ず在留届を提出してください。また,3か月未満の旅行や出張などの際には,海外滞在中も安全に関する情報を随時受けとれるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してくだ さい。(詳細は外務省ホームページ「海外へ渡航される皆様へ」を参照。)

問い合わせ先

●外務省領事サービスセンター
 住所:東京都千代田区霞が関 2-2-1
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

●外務省関連課室連絡先
・外務省領事局政策課(海外医療情報)
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)4475
・海外安全ホームページ(PC・スマホ版携帯版